居住用不動産の譲渡の際に使える特例について概観します(2018年現在)。
ここでも「譲渡金額の5%」を取得費にできる概算取得費や相続税額の取得費加算が使えます。
また、分離課税である不動産の譲渡所得の通常の税率は以下です。
短期(5年以下所有)譲渡所得…39.63%
長期(5年超所有)譲渡所得…20.315%
1 普通に売却する場合
①3000万円の特別控除と②10年超保有の場合の軽減税率の特例の2つが使えます。
計算式は譲渡所得の基本型どおりです。
①は、短期でも長期でも使えます。
②は、10年超所有の場合のみです。
3000万円控除後の譲渡所得の6000万円以下の部分について、税率が14.21%に軽減されます。
6000万円超の部分の税率は、10年超の所有なので20.315%です。
★ ①を使うと「譲渡金額-(取得費+譲渡費用)」が3000万円以下の場合非課税となるが、この場合も確定申告が必要とされる
2 買い換える場合
③買換え差額のみを課税対象とみなす特例が使えます。
買換え差額とは、住んでいた居住用不動産が高く売れた場合の譲渡金額と新居の取得金額との差額です。
そして、費用も買換え差額分のみが認められます。
計算式は以下です。
譲渡所得=買換え差額-(取得費+譲渡費用)×(買換え差額/譲渡金額)
③は、10年超の所有の場合のみです。
③を使う場合①や②は使えません。
税率は、10年超の所有なので20.315%です。
なお、①から③までの適用要件は一部を除き共通しています。
3 土地と土地や建物と建物を交換する場合
④交換差額のみを課税対象とみなす特例が使えます。
これは③とパラレルに考えられます。
ただし、交換という特別な譲渡のため適用要件はいろいろ細かく異なります。