<為替>
■ ドルが幅広い通貨に対して下落し、週間では4年ぶりの大幅な下げとなった。米債利回りの急低下が重しとなった。
■ 米労働省がこの日発表した2月の雇用統計は、非農業部門の雇用者数が前月から27万3000人増と好調なペースを維持し、新型コロナウイルスウイルスの感染が拡大する前に米経済の大きな押し上げ要因となっていたことが分かったが、ドルの支援材料にはならなかった。
■ テンパスのディーリング・トレーディング部門バイスプレジデント、ジョン・ドイル氏は、雇用統計について「非常に素晴らしい内容だったが、全体的なリスクオフ環境下で好影響はかき消された」と述べた。
<債券>
■ 新型コロナウイルスが世界経済に打撃を及ぶすとの不安から質への逃避の動きが強まり、国債価格が急騰。10年債利回りは0.6%台と過去最低を更新した。
■ 経済指標では、2月の雇用統計で非農業部門の雇用者数が前月比27万3000人増と好調なペースを維持したが、市場の反応は限定的だった。
<株式>
■ 米国株式市場は新型コロナウイルスの感染拡大による経済への影響を巡る懸念が根強く、続落して終了した。ただ、主要3指数はそろってこの日の安値からは上向いて取引を終えた。
■ S&P総合500種は過去12営業日のうち10営業日で下落。S&Pダウ・ジョーンズ・インディシーズによると、2月19日に終値としての過去最高値を付けてからの下落率は約12%に達し、時価総額にして3兆4300億ドルが消失した。
■ ただ、この日は取引終盤にかけて3指数は下げ幅を縮小。BNYメロン・インベストメント・マネジメント(ニューヨーク)の首席ストラテジスト、アリシア・レバイン氏は、連邦準備理事会(FRB)当局者が新型ウイルス感染拡大の経済への影響を緩和するために金融政策に加えその他の手段も利用する可能性を示唆する発言が出たことが株価の支援要因になったと指摘。ただ「経済にどのような影響が出るのかはまだ極めて不透明だ」と述べた。
■ 朝方発表された2月の米雇用統計に市場はほとんど反応しなかった。
■ 週足ではS&P総合500種が0.6%、ダウ工業株30種が1.8%、ナスダック総合が0.1%、それぞれ上昇した。
<金先物>
■ 新型コロナウイルスの感染拡大に懸念が広がる中、続伸した。中心限月4月物の清算値は前日比4.40ドル(0.26%)高の1オンス=1672.40ドル。新型コロナウイルスの感染者数が世界的に拡大を続け、景気減速懸念が強まる中、安全資産とされる金は買われた。また、外国為替市場では対ユーロでドル安が進行。ドル建てで取引される金塊などの商品の割安感につながり、金の買いにつながった。ただ、前日の急伸の反動から利益確定の売りも出やすく、相場の上値は重かった。朝方発表された2月の米雇用統計では、非農業部門の就業者数が市場予想を大幅に上回る内容だったものの、相場の反応は限定的だった。
<米原油先物>
■ 石油輸出国機構(OPEC)加盟・非加盟の主要産油国による追加減産協議の決裂を受けて売られ急落した。米国産標準油種WTIの4月物の清算値は前日比4.62ドル(10.07%)安の1バレル=41.28ドルと3日続落。中心限月ベースで2016年8月初旬以来約3年7カ月ぶりの安値となった。週間では、3.48ドル(7.77%)安。5月物の清算値は4.55ドル安の41.51ドル。
■ OPEC加盟・非加盟の主要産油国で構成する「OPECプラス」は6日、ウィーンで閣僚級会合を開催したが、産油量の削減をめぐり、ロシアなど非加盟国が難色を示し協議は決裂した。OPECプラスは追加減産を見送るだけでなく、協調減産を3月末で終了する。16年12月から続いた原油価格維持のための協調体制は事実上崩壊。これを受けて、新型コロナウイルスの感染拡大で原油需要が急減する中で供給が過剰になるとの懸念が台頭。相場は終日下値を試す展開となり、清算値確定間際には、一時41.11ドルまで売り込まれた。